こんにちは、ハルママです。
いきなり重い話から始めてすみません。3歳の娘、いまや朝から晩まで一秒も口が止まらない超おしゃべりモンスターなんですが、2歳のころは健診で「もう少し様子を見ましょうね」と言われて帰ってきた側の人間でした。
あの帰り道の気持ち、たぶん検索してここに来てくれたあなたなら分かると思います。何も言われていないのに、何も解決していない。夜中にスマホで「2歳 言葉が出ない」って打ち込んで、出てくる情報の温度差に殴られて、隣で寝てる娘の顔見て涙目になる、みたいな。
そんな時期に手を出した本のひとつが、言語聴覚士の寺田奈々さん(なな先生)が書いた『発達障害&グレーゾーン幼児のことばを引き出す遊び53』です。
先に結論を言っておきますね。この本、私は買ってよかったと思っています。ただし全員におすすめできる本ではないし、うちでは正直、半分も実践できていません。
そのへんを取り繕わずに全部書くので、買うかどうかの判断材料にしてください。
先に言っておきます。この本、うちでは半分も実践できていません
タイトルに「遊び53」と入っている本を買ったとき、私が何をしたか。全53個をやりきる気で意気込んで、3日で燃え尽きました。はい、学習しないタイプのワーママです。
平日のわが家、保育園から帰ってきて18時半。そこから夕飯、風呂、寝かしつけまでノンストップ格闘技です。そこに「今日は遊び№12をやります」なんて枠、物理的に存在しないんですよ。存在すると思っていた2歳児時代の私、なぜあんなに自分を過大評価していたんでしょうか。
さらに追い打ちをかけてきたのが、紹介されているおもちゃの価格帯です。木製の質のいいやつが多くて、ページをめくるたびに「うん、素敵。うん、無理」を繰り返しました。53個揃えたら我が家の家計が言葉を失う。
それでもこの本、今も本棚の一番手前に立っています。全部やらなくても、たった数個の「やらないコツ」だけで元が取れたからです。その話をこれからします。
挫折した人がわりといる、という前提の話
念のため言っておくと、これは本の欠陥ではなく私の期待値設定のミスです。この本は「毎日やるドリル」ではなく「引き出しを増やす図鑑」に近い。そう理解してから読み返したら、まったく別の本に見えました。
『ことばを引き出す遊び53』はどんな本?基本情報をサクッと
まずは全体像から。ざっくり言うと、言語聴覚士さんが臨床でやっていることを、家庭のリビングサイズに翻訳してくれた本です。
構成は大きく3パートと巻末付録。ことばがどう育つかという土台の話、実際のおもちゃと絵本を使った遊び方、そして親からの質問に答えるQ&A。最後に切り取って使える絵カードが付いています。
写真がとにかく多くて、フルカラー。文字を追う気力が残っていない夜でも、写真だけ眺めて「あ、これうちにある似たおもちゃでいけるかも」と思える作りになっているのがありがたかったです。育児書って、疲れているときに読めない本が本当に多いので。
著者のなな先生ってどんな人?
寺田奈々さんは言語聴覚士。総合病院や耳鼻科クリニック、区立の障害者福祉センターなどを経て、2020年に東京・蔵前で「ことばの相談室ことり」を開業されています。年間100症例以上のことばの相談に関わってきた方だそうです。
私が信頼できると感じたのは、この方が一貫して「おうち療育」を掲げている点でした。専門家のところに通う回数って、どうがんばっても週1回とか月1回。でも子どもが一番長くいるのは家です。その家での時間をどう使うかに焦点を当てている人が書いた本なんだな、と分かってから読む姿勢が変わりました。
3パート+巻末絵カードの中身
Part1は、ことばがどう育つかの土台の話。指差しの意味とか、大人が気づける遅れのサインとか、吃音のこととか。
Part2が本の中心で、ことばを引き出すおもちゃ33点と絵本20点が、遊び方とかけ声のコツ付きで紹介されています。合わせて53。タイトルの数字はここから来ています。
Part3は親からの質問に答えるQ&Aが13個。「テレビや動画は見せないほうがいい?」「サ行やカ行がうまく言えない」「早期英語教育は影響ある?」みたいな、まさに深夜にスマホで検索していたやつが並んでいます。ここだけ立ち読みしても価値があると思う。
価格・ページ数など
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表示日時 2026/09/12 12:37
発達グレーと言われた子に、この本が向いていると感じた3つの理由
ここが一番書きたかったところです。診断がついていない、でも何もしないのも不安、という宙ぶらりんの時期に、この本が何をしてくれたか。
先にお断りしておくと、以下は本に書かれている内容の紹介と、うちの娘に関する私の個人的な感想です。子どもの発達には本当に大きな個人差がありますし、私は専門家ではありません。心配なことがあるときは、まず自治体の窓口やお医者さん、言語聴覚士さんに相談するのが一番の近道です。それを踏まえたうえで読んでください。
理由1:ことばはピラミッドのてっぺんという考え方で、焦りが減った
本の中に「ことばのピラミッド」という考え方が出てきます。話すという行為はピラミッドの一番上にある部分で、その下には睡眠や食事といった生理的な安定、体の発達、他者への関心、そして言葉の意味が分かること(理解のことば)が積み重なっている、という整理です。
これを読んだとき、私の中の何かがカチッと切り替わりました。娘が話さないことに全神経を集中させていたけど、そこは頂点だった。娘は当時、こっちが指さしたほうを一緒に見て笑っていたし、絵本のページを勝手にめくってケラケラ言っていた。てっぺんが出ていないだけで、下の段はちゃんと積まれていたわけです。
「まだ何も積まれていない」と思って怯えるのと、「下から積まれている途中」と思って待つのでは、親のメンタルがまるで違います。私にとってこの本の最大の価値は、正直ここでした。
理由2:無理に言わせない。伝えたい気持ちを育てる方向に振り切っている
私、やっていました。絵本を指さして「これなに?」「りんごって言ってみて?」を娘に浴びせるやつ。娘、みるみる絵本から逃げていきました。当然です。楽しい時間が採点タイムに変わったんだから。
この本は、その方向に行かない。復唱させることより、子どもの側に「伝えたい」という気持ちが生まれる状況をつくることを重視しています。言葉は教え込むものじゃなくて、使いたくなって出てくるもの、という立ち位置。
言い間違いを無理に直させることのデメリットにも触れられていて、これは読んで本当に安心しました。私の「教育熱心のつもりだった圧」が、娘の口を閉じさせていた可能性、あったんですよね。反省します。
理由3:目で見てわかる支援が、家庭サイズになっている
うちの娘、耳から入る言葉より、目で見たもののほうが圧倒的に強い子でした。「そろそろ帰るよ」を10回言っても届かないのに、靴を持ってくると動く。
この本には、そういう視覚優位のタイプに向けた工夫が家庭サイズで入っています。残り時間が目に見えて減っていくタイマーを使って「終わり」を共有する話とか、巻末の絵カードとか。専門的な支援手法を、療育センターの道具ではなくリビングの道具として提案してくれるので、身構えずに試せました。
そして地味に大きいのが、紹介されている道具が「障害児用の特別な訓練グッズ」ではなく、ふつうに素敵な知育おもちゃだという点。これ、親の心の負担が全然違います。特別なことをさせている感じがしない。ただ親子で楽しく遊んでいるだけの見た目でいられる。この配慮、本当にありがたかったです。
正直レビュー:ズボラワーママが実際にやってみて残ったもの・消えたもの
さて、キラキラした話が続いたので現実に戻ります。実際に我が家で生き残ったものと、静かに消えたものを晒します。
消えた:気合いが必要なやつ、毎日やる系のやつ
準備が必要な遊びは全滅しました。私が悪い。でも21時に洗い物を残したまま「明日の遊びの準備」ができる母親、この世に何人いるんでしょうか。いたら教えてください、その気力の出し方を。
「毎日続ける」も無理でした。続けようとするとできなかった日に自己嫌悪が発生して、育児がまた一段しんどくなる。なので早い段階で捨てました。捨ててよかったです。
残った:待つだけでいい「寸止め」テクニック
これが最強でした。おもちゃで遊んでいる途中で、大人がわざと手を止めて待つ。子どもが「やって」と目を向けたり声を出したりするのを待ってから動く、というもの。
準備ゼロ。追加コストゼロ。必要なのは、親が3秒だけ黙る能力だけ。
うちの娘、これで「もっかい」が出るようになりました。厳密に言えばこの本のおかげか成長のタイミングだったのかは分かりません。でも、私が先回りして全部やってあげていた頃より、娘が言葉を使う場面は確実に増えました。
先回りしない育児って、実は手抜きなのに効くという最高のパターンです。ズボラ、ここに極まる。
想定外によかった:切り替えのギャン泣きとタイマー
娘、遊びを中断されるのが本当に苦手で、公園から帰るたびに近所迷惑レベルの絶叫をかましてくれる子でした。
本で紹介されていた「残りが目で見えるタイマー」を導入したら、これがハマりました。全部解決したなんて言いません。今でもゴネる日はあります。ただ、「あと少し」が目で見えるだけで、納得して立ち上がれる日が明らかに増えました。
親の私が「あと5分」と言い続けて、5分後に信用されずに泣かれる地獄から、少し抜け出せた感じです。
夫(データ重視の論理派SE)が唯一納得した部分
我が家の夫、育児本を「エビデンスは?」で切ってくるタイプです。感情論が一切通じない。
その夫がこの本で唯一うなずいたのが、Part1の発達の順序の整理でした。「話す前段階の構造が示されていて、対処の優先順位が決まるのはいい」とかなんとか言っていました。翻訳すると「これは筋が通ってる」らしいです。
論理派パートナーに育児を一緒に考えてほしい人は、Part1だけ音読して聞かせるという裏技が使えます。おすすめです。
ここは注意。買う前に知っておきたいデメリット4つ
良いことばかり書く記事は信用できないので、不満も全部出します。
1. 紹介おもちゃが良質すぎて高い
木製の輸入おもちゃ中心なので、全部揃えるのは現実的ではありません。ここで大事なのは、この本は「買い物リスト」ではないと理解すること。
本の価値は、おもちゃの遊び方の考え方の部分にあります。因果関係が分かりやすいおもちゃがいいとか、やりとりが生まれる形がいいとか、そういう軸が分かれば、うちにある似たおもちゃや100均のもので応用が効きます。私は結局、新しく買ったのはタイマーくらいでした。
2. 絵カードは切り取って使う付録
巻末の絵カードは、切り取って使う前提の付録です。ここ、購入形態選びに直結するので次の章で詳しく書きます。
3. 診断や療育先探しの本ではない
「うちの子は発達障害なのかどうか」を判定してくれる本ではありません。相談先の探し方や、支援制度の使い方が知りたい人には向きません。あくまで、家での遊びとことばかけの本です。
4. 読んだだけでは何も起きない
当たり前のことを書きますが、これは親が動く前提の本です。読んで安心して終わる本ではない。逆に言えば、たった1個でも試す気があるなら、1,980円の元は取れます。
紙とKindle、どっちを買えばいい?我が家の結論
これ、上位に出てくる記事が誰も答えてくれなかったところなので書いておきます。
絵カードを使いたいなら紙が無難
巻末の絵カードは切り取って使うタイプの付録です。カードとして手に持って使いたいなら、紙のほうが素直に運用できます。私は紙を買って、切り取ったカードをラミネートしました。3歳児の手にかかると紙は3日で滅ぶので、ラミネート推奨です。
Kindle版も出ていますが、Amazonの商品ページには、タブレットなど大きい画面の端末で読むのに適しているという案内が出ています。写真が多いフルカラーの本なので、スマホの小さい画面で読むと少しつらいかもしれません。
Kindle版が向いている人
逆に、こんな人は電子でいいと思います。
すでに療育や相談先が決まっていて、絵カードは支援先のものを使っている人。通勤電車で読み進めたい人。家に本を増やしたくない人。タブレットを持っている人。
私は絵カードを自分で使いたかったので紙にしましたが、正解は家庭ごとに違います。
前著『0〜4歳 ことばをひきだす親子あそび』とどっちを買うべき?
なな先生、実はもう1冊出しています。2022年の『0〜4歳 ことばをひきだす親子あそび』(小学館)です。「どっち買えばいいの」問題、ここで整理します。
| 比較項目 | ことばを引き出す遊び53 | 0〜4歳 ことばをひきだす親子あそび |
|---|---|---|
| 出版社 | 誠文堂新光社(2023年) | 小学館(2022年) |
| 主な読者 | 発達グレーが気になる幼児の親 | 乳幼児の親全般 |
| 内容の軸 | おもちゃ・絵本を使った具体的な遊び方 | 月齢に沿った日常のやりとり |
| 特徴 | 絵カード付録、視覚的支援の話あり | 0歳から使える、身近な遊び中心 |
迷ったらこう選ぶ
お子さんがまだ0〜1歳台で、特に強い心配はないけどことばを育てたい、という段階なら前著のほうが使いやすいと思います。
一方、2歳を過ぎて「遅いかも」が気になっている、健診で様子見と言われた、切り替えが苦手でよく癇癪を起こす、という状況なら、こちらの53のほうが刺さります。ターゲットがはっきり寄せてある分、悩みへの答え方が具体的です。
前著が気になる方はこちら。
この本をおすすめしたい人・しなくていい人
ここまで読んでもらったので、最後に整理します。
おすすめしたい人
健診や園で「様子を見ましょう」と言われて、待つ以外に何かしたい人。専門機関の予約待ちで、その間の時間をどう使えばいいか分からない人。「これ言ってみて」を強要して失敗した経験がある人(私です)。子どもが目で見た情報のほうが入りやすいタイプの人。写真が多くて疲れていても読める本を探している人。あと、パートナーが理屈で納得したがるタイプの家庭。
今は必要ないかもしれない人
診断名がはっきりついていて、すでに専門的な療育プログラムが始まっている人には、内容が基礎的に感じられるかもしれません。相談先や制度の情報が欲しい人も、目的が合いません。あと、おもちゃを買わずに全部手作りで済ませたい人は、学研の『ゆっくり育つ子どもの「ことば・コミュニケーション」を育む遊び80』のほうが方向性が近いです。
よくある質問
3歳を過ぎていても使えますか?
タイトルは幼児向けですが、Q&Aには発音や言い間違い、ひらがなの話も入っているので、3〜4歳台でも使いどころはあると思います。うちは3歳で買って、今もQ&Aだけ読み返しています。
診断がなくても読んで意味ある?
私はまさに診断なしの状態で読みました。むしろ、診断がつかないグレーの時期に一番効く本だと感じています。ただ、心配なことがあるときは本と並行して、自治体の窓口や小児科、言語聴覚士さんへの相談も進めてくださいね。順番待ちが長い地域もあるので、動き出すのは早いほうが選択肢が増えます。
おもちゃを買わないと実践できませんか?
できます。うちで一番効いた「寸止めして待つ」は、家にあるおもちゃでできます。おもちゃの紹介ページも、選ぶ視点を学ぶページとして読めば十分元が取れます。
保育士や祖父母が読んでも役立ちますか?
写真が多くて説明が平易なので、共有しやすい本だと思います。うちは実家に帰るとき持って行って、母に「言い直しさせなくていいらしいよ」のページだけ見せました。効果はありました。
まとめ:本は魔法じゃないけど、私の焦りは確実に減った
正直に言います。この本を読んだから娘がしゃべり出した、とは言えません。子どもの発達は本当にそれぞれで、時期が来たという話かもしれない。そこは誰にも分からないし、分かったふりをする記事は信じないでください。
でも、はっきり言えることがひとつあります。
あの深夜のスマホ検索地獄から、私を引き上げてくれたのはこの本でした。「話さないこと」だけを見て怯えるのをやめて、下の段が積まれている途中なんだと思えるようになった。娘に「言ってみて」と迫るのをやめて、3秒黙って待てるようになった。
それだけで、当時の私にとっては1,980円以上の価値がありました。
いま同じ場所で立ち止まっている人がいたら、まず1個だけ試してみてください。53個やらなくていいです。1個で十分です。
楽天でも購入できます
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表示日時 2026/09/12 12:37