正直に言うと、この本、うちでは一度「積みました」
こんにちは、ハルママです。フルタイム勤務、3歳の娘と5歳の息子、そして何を言っても数字で返してくる夫と暮らしています。
で、いきなり信頼を落とすことを書きますね。
『発達が気になる子の感覚統合遊び』、私は買ってから2か月ほど、完全に積みました。本棚じゃなくて、リビングの床に平積みです。子どもが上に乗ってました。
理由は単純で、「読む時間がある人だけが偉いのか」という荒れた気持ちになっていたから。当時、娘は健診で発達をやんわり気にされたばかりで、私は毎晩スマホで検索しては落ち込むというしょうもないループにいました。そんなときに届いた160ページのフルカラー本、正直「重い」と思ったんですよ。物理的にも精神的にも。
結論から言うと、今この本は付箋まみれで、キッチンの棚に立ててあります。娘は3歳になり、今は朝から晩までしゃべり倒すタイプの人間に育ちました。
ただ、この本を「神本です!」とだけ言って終わる記事にはしたくないので、先に残念だったところから書きます。そういうブログなので。
そもそも「感覚統合遊び」ってなに?(3分でわかるやつ)
感覚統合という言葉、私は最初「意識高い育児法」だと思っていました。全然違いました。
ざっくり言うと、脳の中で行われている交通整理の話です。私たちは目や耳や肌から、常にとんでもない量の情報を受け取っています。その中から必要なものを選んで、いらないものを流して、体をちょうどよく動かす。この整理がスムーズだと、座っていられるし、話も聞けるし、コップも倒さない。
そして育児で大事なのは、五感より地味な3つの感覚なんだそうです。
触覚。肌で感じるやつ。安心感にも直結しています。
前庭覚。耳の奥で、体の傾きやスピードを感じるやつ。姿勢を保つ係です。
固有受容覚。筋肉や関節で、手足の位置や力加減を把握するやつ。アクセルとブレーキの係。
この3つは意識に上がってこないので、うまく働いていないときに「わがまま」「乱暴」「だらしない」と誤解されやすいらしいんですね。私、思い当たりすぎて本を閉じました。
「わがままかも」と思っていた行動が、脳の交通整理の話だったとき
娘は2歳のころ、服のタグで泣きました。私は最初、こだわりが強いのかな、と思っていました。
手をつなぐのも嫌がりました。イヤイヤ期だと思っていました。
スーパーの冷凍コーナーで固まるのも、遊び場の音で耳をふさぐのも、そういう性格なんだと処理していました。だってそう考えるほうが、こっちの心が楽なんですよ。
でもこの本を開いて、触覚に敏感さがあるとこういう行動になりやすい、という説明を読んだとき、私が娘に何回「我慢して」と言ってきたかを思い出して、リビングで普通に固まりました。
念のため書いておくと、これは私が娘を診断したという話ではありません。専門家に判定してもらう話とは別で、あくまで私の見方が変わったという体験談です。ただ、見方が変わるだけで、家の空気ってわりと変わるんですよね。怒る回数が減るので。
『発達が気になる子の感覚統合遊び』の基本情報と中身
著者の藤原里美先生は、公立保育園や東京都立小児総合医療センターなどで長く療育の現場にいらした方です。保育士で、臨床発達心理士。つまり、子どもをたくさん見てきた人が書いた本ということですね。
この本の背骨になっているのが、「子どもは1ミリも変えない」という考え方です。子どもを標準に近づけようとするのではなく、大人が環境と関わり方を変える。そして「遊んでいたら発達した、が最強」という一文。私はここで完全に落ちました。訓練じゃなくていいんだ、と。
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表示日時 2026/09/12 12:37
困りごとから逆引きできる6つの章立てが、疲れた脳にやさしい
この本のいちばん実用的なところは、感覚の専門用語からではなく、目の前の困りごとから引けることです。章立てがこうなっています。
| 1 ボディイメージ(固有感覚のつまずき) | よく転ぶ、人や物にぶつかる |
| 2 バランス感覚(前庭覚のつまずき) | 椅子に座っていられない、そわそわする |
| 3 触れて楽しむ(触感覚のつまずき) | べたべたが苦手、逆に触りたがる |
| 4 身のこなし(協調運動のつまずき) | 不器用、目と手がうまく連動しない |
| 5 感覚を堪能する(感覚欲求のつまずき) | くるくる回り続ける、ぶつかりに行く |
| 6 ゲームで楽しむ(応用) | 順番が待てない、ルールが守れない |
夜9時、洗い物を残したまま「今日は座ってられなかったな」と思ったとき、2章を開けばいい。この設計、疲れ切った母の脳に本当にやさしいです。目次から探すという行為に体力を使わせない本って、意外と少ないんですよ。
買う前に知ってほしい、残念だったところ3つ
はい、ここが本題です。おすすめしかない記事は信用できないので、正直に3つ書きます。
残念1|想定読者が「園の先生」寄り。家庭用に読み替える手間がある
これは覚悟して買ってほしいポイントです。この本、もともと保育の現場向けの色が強いんです。
だから遊びの説明が、複数人の子どもがいる前提で書かれているものが混ざっています。集団でやるゲーム、広い部屋、大人が2人以上いる状況。うちみたいに「6畳のリビングに母1人と子2人」という環境だと、そのまま実行できない遊びがそれなりにあります。
じゃあ使えないのかというと、そんなことはなくて。人数と道具を差し引いて、家サイズに縮める作業が必要、という話です。私はこの読み替えに慣れるまで3週間くらいかかりました。買ってすぐ「思ってたのと違う」と感じる人がいるのは、たぶんここです。
逆に、保育士さんや支援員さんなら何の翻訳もいらないので、そちらの方には手放しでおすすめできます。
残念2|B5サイズのフルカラーで、とにかくデカい(そして重い)
物理の話です。B5判160ページ、全ページカラー。要するに、大判の図鑑寄りサイズです。
イラストが全ページ入っているのは最大の長所でもあって、これは後で褒めます。ただ持ち運びは無理。通勤バッグには入りませんでした。私が最初に積んだ理由の3割はこれです。「通勤電車で読もう」という計画が初日に破綻しました。
電子版もあるのですが、フルカラーの大型ページをスマホで読むのは相当つらいと思います。イラストを見ながら子どもと動く本なので、私は紙をおすすめします。タブレットがある方は電子でもいけるかもしれません。
あと収納。立てて置ける場所を先に確保しておいてください。平積みすると子どもが乗ります。実証済みです。
残念3|2,420円。絵本より高いので、元を取る使い方が必要
2,420円って、育児本としては標準的です。でも我が家の家計簿の感覚では、絵本2冊分。ホットケーキミックスが何袋買えるか一瞬考えるやつです。
そして正直に言うと、買っただけでは何も起きません。当たり前ですけど、床に置いてある2か月間、娘の困りごとは1ミリも減りませんでした。減ったのは私の自己肯定感だけです。
なので買うなら、最初に1個だけ決めてください。「今いちばん困っていること」をひとつ選んで、その章だけ読んで、その日にひとつ試す。それで元は取れます。100種類全部やろうとした人が一番早く挫折します。私です。
それでも手放せない理由|家で本当に効いた遊び5つ
ここからは、実際にうちで回っている遊びを5つだけ紹介します。100種類のうちの5つです。それでいいんです。
念のため、感覚統合の遊びは訓練ではないので、うまくいったかどうかは子どもが笑ったかどうかだけで判断していました。
シーツブランコ|大人2人問題を夫の不在時にどう解決したか
丈夫なシーツの真ん中に子どもを寝かせて、大人2人で四隅を持って、ゆらゆらする遊びです。
本にも書かれているのですが、これは同時にいくつもの感覚に届く遊びなんですね。シーツに包まれることで肌と関節にじんわり圧がかかって安心し、揺れが前庭覚に入る。しかも包まれると余計なものが見えないので、揺らしてくれる人の顔と声だけに注意が向く。楽しい気持ちと「この人」がセットで記憶される、という説明があって、これは発達が気になる子にとってかなり大きい話だと思いました。人への興味が、遊びの副産物として育つという。
問題は大人2人です。うちは夫の帰宅が遅い日が週の半分以上。
解決策は、床に置いたまま引っ張ることでした。座布団か厚手のバスタオルに乗せて、私が1人で「3、2、1、しゅっぱーつ」と引きずる。揺れは弱いですが、圧と密着はしっかり入ります。あとこの「3、2、1」の型が大事で、次に何が起きるか予測できると、言葉がゆっくりな子でも安心して待てるし、「もっと」と要求が出やすくなるそうです。娘の「もっかい」は、ほぼここで量産されました。
新聞紙ちぎり|音が苦手な子が、自分で出す音は平気だった話
これは個人的に一番びっくりした遊びです。
娘は突発的な音が苦手でした。掃除機、ハンドドライヤー、遊具の歓声。なのに、新聞紙をびりびり破く音は平気どころか大喜びだったんです。
本を読んで理由がわかりました。自分の手で破っているので、指先の抵抗感と、そこから出る音が完全に同期しているんですね。自分でコントロールできる音は怖くない。これ、聴覚に敏感さがある子へのアプローチとして紹介されていて、なるほどなあと。
準備は新聞紙かチラシだけ。散らかりますが、最後に「せーの」で全部袋に入れるところまでを遊びにすれば片付けも終わります。むしろ子どもが袋に詰めたがるので、私は座っていられます。ズボラ的に満点。
布団サンドイッチ|力加減の暴走が少し落ち着いた日
これは兄のほうに効きました。うちの5歳は仏のように優しいのに、なぜか人にぶつかる。悪気は本当にゼロなんです。
本によると、人や物にぶつかる、力加減ができないという行動の背景には、脳の中の体の地図がぼんやりしている可能性があるとのこと。だから筋肉や関節に強い刺激を入れて、自分の体の輪郭を描き直す遊びが有効だと。
やり方は雑で大丈夫です。敷布団に寝かせて、上から掛け布団をかけて、私が上からぎゅーっと押す。「はい、ハルママサンドできました」と言うだけ。息子は毎回大爆笑して、そのあと少し静かになります。
顔の周りは絶対に押さないこと、子どもが嫌がったら即やめること。この2つだけ守れば、道具ゼロで5分で終わります。
小麦粉粘土|泥は無理でも、これなら触れた
娘は泥と砂が本当にだめでした。公園の砂場は「見る施設」でした。
でも小麦粉粘土はいけたんです。理由は水の量で硬さと感触を自分で調整できるから。本にも、触覚に敏感さがある子には、許容できるところから少しずつ、と書かれていて、まさにそれでした。最初は指1本でつんつんするだけ。1週間後に手のひら。1か月後にこねる。
そしてこの押す、伸ばす、ちぎる、丸めるという動きが、お箸や鉛筆の土台になるらしいです。将来のために今こねているんだと思うと、床に落ちた小麦粉も少し許せます。少しだけ。
ゲームで楽しむ遊び|兄妹で成立するのが地味に最強
最後の章がゲーム系なんですけど、これがワーママ的には隠れた本命です。
というのも、5歳と3歳を別々に相手にする体力、私にはないんですよ。でもこの章のゲームはルールがゆるいので、兄妹2人でやらせて私が見ているだけで成立するものが多いんです。順番を待つ、相手の動きに合わせる、という練習にもなっているらしい。
私は座って麦茶を飲みながら「いいねー」と言うだけ。これを支援と呼んでいいのか一瞬悩みましたが、本のスタンスからいくと、楽しく回っているならそれが正解でいいはずです。
うちで回っているのはこの5つ。もし気になったら、あと95種類は本の中にあります。
絶対にやらないほうがいいこと|「慣れさせよう」は逆効果でした
これは本の中で何度も強く書かれていて、私が過去にやってしまっていたことです。
苦手な刺激に無理に慣れさせようとしないこと。
「ちょっと我慢すれば平気になる」は、この分野では逆効果だそうです。無理に刺激を入れられた脳は防御モードに入るので、慣れるどころか苦手が固くなる。娘の手を握って砂場に連れて行った日の私に、この一行を読ませたい。
子どもが顔を背ける、耳をふさぐ、泣く、逃げる。このサインが出たら即中止でいいんです。
そして代わりに紹介されているのが、選ばせること。やるかやらないかの二択にすると押し付けになるので、「Aの遊びとBの遊び、どっちにする?」と聞く。自分で選んだという感覚があるだけで、子どもの安心度がまったく違います。うちは今もこの聞き方を使っています。夕飯のメニューにも流用しています。
もうひとつ効いたのが、逃げ場を先に作っておくこと。刺激が多すぎてパニックになりやすい子には、静かに戻れる場所を用意しておくといいそうです。うちは押し入れの下段にクッションを入れて、「疲れたらここ入っていいよ」と伝えてあります。娘はときどき自分から入って、5分で出てきます。自分でクールダウンを選べるようになるって、めちゃくちゃすごいスキルだと思うんですよね。
ワーママ的・続けるコツ|毎日やらない。5分でやめる
ここが、私がこの記事で一番言いたいところです。
こういう本を買うと、「毎日やらなきゃ意味がない」と思い込みませんか。私は思いました。そして3日で息切れして、罪悪感で本を伏せました。
でも療育の現場の考え方として言われているのは、毎日じゃなくていい、ということなんです。週に3〜4回、1回5分から10分。そのかわり、親も子も「楽しい」と感じている状態でやる。義務感でやる30分より、笑っている5分のほうがずっといいと。
これを知ってから、私のルールはこうなりました。
平日は1個だけ。お風呂の前の5分に、布団サンドか新聞紙ちぎりのどちらか。娘に選ばせる。
気分が乗らない日はやらない。私が疲れている日は、こっちの機嫌が悪くて逆効果なので堂々と休む。
散らかる系は土日限定。小麦粉粘土を平日夜にやると、私が22時に床を拭くことになるので。学習しました。
これで十分続いています。というか、続いたのはハードルを下げたからです。手抜きは戦略です。
この本が向いている人・向いていない人
ここは正直に振り分けます。
| 向いていない人 | 理由(本書の特徴) |
| 理論をしっかり学びたい人 | 実践書なので、理論解説は最小限 |
| 持ち歩いて読みたい人 | B5判で大きく重い |
| 1冊で全部解決したい人 | 遊びのアイデア集で、診断や指導計画の本ではない |
| 遊び以外の対応を知りたい人 | 声かけや生活動作の工夫が主題ではない |
| 向いている人 | 理由 |
| 子どもの行動の理由を知りたい人 | 困りごとから逆引きできる構成 |
| 言葉で説明しても伝わらない子がいる人 | 全ページのイラストを見せて誘える |
| 時間がない人 | 1つの遊びが短く、道具がほぼ家にある |
| 保育士・支援員・園の先生 | そもそも現場向けなので翻訳が不要 |
私は「言葉で説明しても伝わらない」がまさにそれでした。娘に口で説明すると宇宙猫の顔をされるので、本のイラストを見せて「これやる?」と聞くと通じたんです。この使い方だけでも買った価値がありました。
姉妹本もある。どれから買えばいい?
この本、シリーズになっています。
『発達が気になる子の感覚統合遊び』(2024年5月/2,420円)が1冊目。体と感覚の土台をつくる巻。
『発達が気になる子のソーシャルスキル遊び』(2025年2月/2,200円)が2冊目。言いたいことが言えない、かんしゃく、ルールが守れないといった、人との関わりの巻。
『発達が気になる子の認知遊び』(2026年6月/遊び150種)が3冊目。遊びが続かない、指示が入らない、切り替えられないといった、情報の受け取り方の巻。
で、どれからかというと、私は感覚統合からをおすすめします。理由は、体と感覚が落ち着いていないうちに「順番を待とうね」と言っても、たぶん届かないから。土台が下にある構成になっているので、順番どおりが素直です。
うちは今、2冊目に手を伸ばそうか迷っています。娘がしゃべれるようになった結果、今度は言いたいことが強すぎるという新しい局面に入ったので。育児って終わらないですね。
よくある質問
まとめ|本を1冊買っただけで子どもは変わらない。変わったのは私の見方
正直な結論を書きます。
この本を買っても、翌朝から子どもが変わることはありません。私の家では2か月間、床に置いてあっただけでした。
でも読んでからは、娘が服のタグで泣いたときに「わがままを言うな」と思わなくなりました。息子が人にぶつかったときに「乱暴にしないで」と言う前に、体の地図の話を思い出せるようになりました。
変わったのは子どもじゃなくて、私の見方でした。そしてたぶん、この本が狙っているのもそこなんだと思います。子どもは1ミリも変えない、というのはそういう意味なんだろうなと。
2,420円で、怒る回数が減ったなら、私は元を取ったと思っています。ホットケーキミックスの袋数と比べたことは、いったん忘れます。
気になった方はこちらから見てみてください。うちみたいに床に平積みしないよう、置き場所を先に決めてくださいね。
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