こんにちは、ハルママです。
今でこそ我が家の3歳娘は、朝起きた瞬間から「ママきいてきいてあのねあのね」と、こちらの脳を24時間フル稼働させてくる超絶おしゃべりマシーンなんですが。
1歳半健診のとき、私は保健センターの床を見つめていました。
指差しをしない。名前を呼んでも振り向くのが遅い。単語が出ていない。「もう少し様子を見ましょうね」という魔法の言葉をもらって帰り、家で検索魔になり、深夜2時に「1歳半 発語なし」で出てきた記事を全部読んで泣きました。あるあるですよね。あるあるで済ませたくないけど、あるあるなんですよね。
で、そこから私は何をしたか。
とにかく喋りました。実況中継しました。「今ママはお米を研いでいますよー!お米!コメ!ライス!」って、朝から晩まで。喉が痛くなるまで。
その努力が、実は逆効果だったと知ったのが、この本でした。
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表示日時 2026/09/12 12:24
結論:言葉の遅れが不安な親が最初に読むなら、この1冊でいい
先に結論から言いますね。
言語聴覚士の「なな先生」こと寺田奈々さんが書いた『0〜4歳 ことばをひきだす親子あそび』(小学館)。これ、療育の予約が3ヶ月先まで埋まっていて何もできない、あの一番しんどい待機期間に読むべき本です。
理由はシンプルで、「うちの子の今の段階」がわかって、「じゃあ今日何をすればいいか」が書いてあるから。
ネットの情報って、原因の可能性をずらっと並べて「専門機関に相談しましょう」で終わるものがほとんどなんです。いや、相談したいのは山々なんですけど、予約が取れないんですって。その間の3ヶ月、私はどうすればいいんですか。
この本は、その3ヶ月に答えをくれます。あそびが100個載っていて、しかも進め方だけじゃなく、そのあそびに隠された意図と、うまくいかなかったときに戻るあそびまで書いてある。値段は1,300円台(税込/記事執筆時点。最新価格はリンク先でご確認ください)。療育1回分より圧倒的に安い。
とはいえ、いいことばかり書いてある記事って信用できないですよね。私も信用しません。なので先にデメリットからいきます。
正直に言うと、この本にはデメリットが3つあります
買ってから「うわ、こういう本か」ってなるのが一番モヤモヤするので、先に全部出します。
デメリット1:イラストが可愛すぎて、我が子との落差で落ち込む
この本、イラストがとにかく可愛いんです。ニコニコの親子が楽しそうにあそんでいる絵が並んでいます。
で、現実。うちの娘は鏡を見せても3秒で飽きて、テレビのリモコンをしゃぶりに行きました。絵の中の子はキラキラした目で鏡を見つめているのに。
これ、わりと精神に来ます。「本の通りにならないうちの子」を見せつけられる瞬間があるので、心が弱っている日に読むのはおすすめしません。私は最初の1週間、しおりを挟んだまま封印しました。
デメリット2:全く言葉が出ていない重度のお子さんには物足りない
レビューを見ていても指摘があるんですが、この本は基本的に「これから伸びていく土台を耕す」本です。発語がまったくない、あるいは重度の遅れがあるお子さんに対して、専門的な介入の代わりになるものではありません。
そこはハッキリさせておきたいところ。あくまで、病院や療育と並行して使う家庭用のサブ教材です。ここを期待しすぎると裏切られます。
デメリット3:100個あるので、真面目な人ほど潰れる
これが一番危険。
100個って、多いんですよ。真面目なママ(つまり過去の私)は、これを「100個やらなきゃいけないタスクリスト」として認識します。付箋を貼り、スケジュールに落とし込み、できなかった日に自己嫌悪する。
違うんです。これ、100個のうち3個ハマれば大勝利の本です。カタログとして使うのが正解。

「ことばのシャワーはNG」に殴られた話
さて、ここからが本題です。
私が冒頭に書いた「朝から晩まで実況中継」。あれ、この本を読んで完全に間違いだったと気づきました。
本の中の1歳〜1歳半のパートに、ことばのシャワーはNG、という趣旨のことが書かれているんです。届いていないことばがけは、子どもにとってただの雑音でしかない、と。
……雑音。
私が喉を潰しながら投げつけていたあの言葉たちは、娘にとって雑音だったのか。工事現場だったのか、我が家は。
じゃあどうすればいいのかというと、子どもの理解力とちょうど同じか、少し簡単すぎるかなというくらいのレベルを狙うこと。そしてことば以外のヒント、つまり物を見せたり、指を差したり、動きで示したりする情報をたっぷり添えること。そのほうが理解力は伸びるんだそうです。
さらにグサッときたのが、1歳台の集中力はとても短く細切れなので、まずは静かに待ってあげる、という部分。
待つ。
黙る。
私が一番できていなかったことでした。娘が積み木を見つめている数秒間、私はその静寂に耐えられず「あ!つみき!つみきだね!かたいね!しかくだね!」と割り込んでいた。娘が自分で世界と向き合っている時間を、母が毎回ぶち壊していたわけです。
ネット上の情報って、だいたい「たくさん話しかけましょう」なんですよ。企業のサイトも、健診で配られる冊子も。だから真面目な親は量を増やす方向に走る。でも専門家の答えは真逆で、質と、届く高さと、沈黙。
この一項目だけで、1,300円の元は取れたと思っています。
発達グレーの子に効くと感じた理由は「ステップダウン」の設計
「発達が気になる子向けの本ですか?」と聞かれたら、私は「グレーの子にはむしろ最適です」と答えます。
つまずいたら1つ前に戻れる構造になっている
この本の各あそびには、次にやりたいあそびと、難しかったら戻ってやりたいあそびが書かれています。
これ、地味な仕様に見えて、実はとんでもなくありがたい。
発達グレーの子育てで一番つらいのって、「できなかったとき」なんです。市販の知育本を開いて、月齢の欄に書いてあることができない。ページをめくっても、そこには「もっとできる子」の話しか書いていない。行き止まりなんですよ。
この本は行き止まりがない。できなかったら1個下に戻る道が、あらかじめ用意されている。これって特別支援教育のスモールステップの考え方とまったく同じで、療育の個別指導計画を組む発想がそのまま家庭用に落とし込まれているんですよね。
実際、特別支援学級の先生や発達支援施設のスタッフからも、保護者への助言のヒントとして使えるという評価があるそうです。プロが現場で参照している本を、私たちが1,300円台で買えている。お得すぎないですか。
語彙より先に「伝え合う力」を土台に置いている
もうひとつ。この本は、言葉の発達を4つの力に分解しています。伝え合う力、単語力、音を並べる力、組み立てる力。
そしてはっきり「伝え合う力」が全部の土台だと位置づけている。
発語が遅いと、親はどうしても単語を教え込みたくなります。カードをめくって「これは?これは?」ってやりたくなる。私もやりました。娘、無表情でした。
でも順番が逆だったんです。まず「この人と何かを共有すると楽しい」が育っていないと、単語は積み上がらない。指差しも、目が合うことも、こちらの反応をうかがう表情も、全部その土台の話。
娘に必要だったのはフラッシュカードじゃなくて、ただ一緒にゲラゲラ笑う時間だった。そう気づいたとき、育児の難易度が一気に下がりました。だって笑うだけならできるもん。私、それだけは得意なんですよ。
5つの発達ステージ別・我が家で実際にウケたあそび
この本は0歳から4歳を5つの時期に分けています。あーうー期、ぽつぽつ期、ぽんぽん期、カタコト期、スラスラ期。名前が可愛いですよね。うちの娘は長らく「ぽつぽつ期」に居住していました。
具体的にどんなあそびがあるのか、我が家でヒットしたものを時期ごとに紹介します。
あーうー期・ぽつぽつ期(0歳〜1歳半)
この時期は言葉の前段階。声を出す、目が合う、真似する、そういう土台を作る時期です。
うちで一番ウケたのは鏡あそび。ただ一緒に鏡を見て、鏡の中の娘に話しかけるだけ。手を振ったり、変顔したり。
最初は「うちの子ナルシストなのでは」と思ったんですが、本にも「鏡の自分に興味がわくのも成長のひとつ」と書いてあって安心しました。あと、5歳の息子(仏)が乱入してきて、3人で鏡の前で変顔大会になったときの娘の笑い方が異常だったので、これは効いてるなと。
もうひとつ、返事ができない子向けのあそびが救いでした。「うん」が言えない、質問すると固まる子に、「〇〇したい人ー!」と呼びかけて手を挙げて「ハーイ」で答えてもらう形式。うちは「あー」みたいな声から始まりました。それでいいんだって書いてあるんです。それでいいんですって。
ぽんぽん期・カタコト期(1歳半〜3歳)
いわゆる語彙爆発と、2語文が出てくる時期。
紙をびりびり破るあそびは、我が家の家計を圧迫しつつ大流行しました(夫の届いたばかりの通販カタログが犠牲になりました)。
そして個人的な最大のヒットが、宝探し。箱をかぶせておもちゃを隠して探すだけ。これ、見えなくてもそこにあるとわかる力を育てるあそびなんですが、言葉って目に見えないものを扱う記号なので、その土台になるんですよね。理屈がわかると、ただの箱かぶせが急に神聖な儀式に見えてきます。
あとカタコト期の空き箱電車。箱を電車に見立てて人形を乗り降りさせながら、「つぎ」「おりる」「となり」「いっしょ」といった、モノの名前じゃない言葉が自然に出てくる作りになっています。名詞は教えやすいけど、こういう関係を示す言葉ってどう教えるの?って詰まっていたので助かりました。
歯みがきのときに「シュー」と内緒話みたいな音を出すあそびもあって、これは発音の練習の入口になっているそうです。歯みがきイヤイヤ期の突破口としても使えたので、二重に得しました。
スラスラ期(3歳〜4歳)
今の娘がここ。会話がスラスラ流れて、昨日のことや明日のことまで喋り出す時期です。
しりとりが載っているんですが、これ地味に高度な作業なんですよね。頭の中で単語を音の粒に分解して、最後の音を取り出して、その音から始まる別の単語を記憶から引っ張ってくる。大人がボケてくるとしりとり弱くなるの、そういうことか、と。
あと写真を見ながら思い出を喋るあそび。「これいつだっけ?」「だれといた?」って聞いていくと、出来事を順番に説明する力が育つそうです。娘、去年の legoland の写真を見て30分喋り続けました。将来は語り部かな。

忙しいワーママの救世主「ながらあそび」
ここまで読んで「そんな時間ないわ」と思った方。私もそう思いました。
フルタイムで働いて、19時に保育園から回収して、ご飯食べさせて風呂に入れて寝かせる。この工程のどこに「親子あそびの時間」を挿入するんですか。物理的に無理でしょ。
で、この本のいちばん現実的なところなんですが、おやつを食べながら、お風呂に入りながら、お散歩しながらできる「ながらあそび」がたくさん入っているんです。
つまり、新しい時間を作らなくていい。今すでにやっている生活動作の中に混ぜるだけ。
我が家はお風呂タイムがメイン会場になりました。お湯をかけて「あったかい」「つめたい」、シャワーを止めて「しずかー」、湯船から出るときに「あがるよ」「あがった」。特別なことは何もしていない。ただ、実況を垂れ流すのをやめて、娘が反応する隙を作るようにしただけ。
「ちゃんとした知育の時間を確保できない自分」に罪悪感を持っていた人ほど、この章で肩の荷が降りると思います。生活そのものが教材になるので、追加コストゼロ。ズボラ大歓喜。
リキャストとパラレルトーク、この2つだけ覚えて帰ってください
100個のあそびよりも、私が本当に価値があると思ったのは、子どもの言い間違いにどう返すかという技術のパートです。
とくに2つ。
ひとつめが、リキャストという返し方。
たとえば娘が「おさんぽが いく!」と助詞を間違えたとき。以前の私は「が、じゃなくて、に、だよ」と直していました。教育熱心なつもりで。
正解は、否定せずに「そうだね、おさんぽに いこうね」と、正しい形でさりげなく言い換えて返すこと。それだけ。子どもは自分の言いたいことを受け止めてもらったまま、正しい形のお手本を受け取れる。
言い直しを強要すると、話すこと自体が怖くなって、逆にコミュニケーションが減ってしまうリスクがあるそうです。……私、娘の口をふさぎに行ってたわけですね。ごめんね娘。
ふたつめが、パラレルトーク。子どもの行動や気持ちを、親が代わりに言葉にしてあげるやり方です。「つみき、たかくつめたね」「こわれちゃって、くやしかったね」みたいに。
これのすごいところは、返事を要求しないこと。喋れない子でも成立する。本の中では畑を耕すような役割だと説明されていて、この表現が私にはすごく刺さりました。種をまく前に、土を作る。すぐに芽が出なくても、無駄じゃない。
ちなみにこの2つ、データ重視の論理派SEである我が夫にも共有しました。技法として名前がついていて、目的がロジカルに説明できるものは、彼にとって一気に導入しやすくなるんですよね。「感覚で優しく接して」だと動かない人が、「リキャストという手法で、否定せずに正しい統語のモデルを提示する」と言うと動く。夫の説得材料としても優秀な本です。
なな先生の本は3冊ある。発達グレーならどれを買う?
ここ、ネットの記事がほとんど触れていないポイントなので、ちゃんと書きます。
なな先生の本、実は複数あります。しかも中身の狙いが違います。
| 書籍名 | 出版社・時期 | 中身 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|
| 0〜4歳 ことばをひきだす親子あそび | 小学館/2022年4月 | 発達段階5期に分けたあそび100個。イラスト構成。ながらあそび多数 | 最初の1冊。0歳から広く使いたい人。土台から知りたい人 |
| 発達障害&グレーゾーン幼児のことばを引き出す遊び53 | 誠文堂新光社/2023年11月 | おもちゃ・絵本・カードゲームを使った遊び方を写真で紹介。ことばの遅れのサインの見分け方、発音や吃音の解説つき。巻末に絵カード収録 | すでに診断や指摘があり、具体的なおもちゃ選びまで知りたい人 |
| 0〜4歳 ことばをひきだす親子カードあそび | 小学館/2026年2月 | 308柄のカードが別冊付録。名詞や動作だけでなく、反対ことば、お話、間違い探しまでカバー | 耳からの情報が入りにくい、見せた方が伝わるタイプの子 |
私の結論はこうです。
まず1冊目を買ってください。理由は、判断基準が手に入るから。うちの子が今どこにいるのか、次はどこに向かうのかがわからないまま教材を買うのは、地図を持たずに山に登るのと同じです。
そのうえで、もし健診や園から具体的に指摘を受けていて、「何を買って何をすればいいか」まで知りたい段階なら、2冊目の『遊び53』のほうが即効性があります。おもちゃと絵本の実物が写真で載っているのは強い。私は結局2冊とも買いました。
3冊目のカードあそびは、視覚優位のお子さんに。言葉だけだと通らないのに、絵を見せた瞬間に理解する子っていますよね。うちの娘がまさにそれで、カードという物理的な手がかりがあると一気に食いつきが変わりました。
こんな人は買わなくていいです
正直に。買わないほうがいい人もいます。
ひとつめ。まったく発語がなく、すでに医療機関で本格的な介入が始まっている場合。この本は日常の中でコミュニケーションを底上げする本なので、主治医やSTさんの指示のほうを優先してください。読むのは悪くないですが、これ1冊で解決すると思わないでほしい。
ふたつめ。「これを読めば〇ヶ月で喋る」という保証を求めている人。そんな本はこの世に存在しません。書いてあるのは土を耕す方法で、芽が出るタイミングは子どもが決めます。
みっつめ。すでに療育に通っていて、家でも十分やれている実感がある人。内容が被る可能性があります。無理に買わなくていいです。その分アイス食べてください。
よくある質問
まとめ:療育の予約が取れなくても、家でできることはある
言語聴覚士さんは全国的に足りていなくて、相談したいときに相談できないのが現実です。数ヶ月待ちなんて当たり前。あの待機期間の無力感、本当にしんどいですよね。
でも、この本を読んで一番救われたのは、家でできることがちゃんとあると知れたことでした。特別な教材も、特別な時間も要らなくて。むしろ喋りすぎるのをやめて、待って、子どもが見ているものを一緒に見る。それだけで土は耕せる。
娘は今、朝から晩まで喋っています。うるさいです。心の底からうるさい。でも1歳半健診の帰り道に泣いていた私に、このうるささを見せてやりたい。
もしいま、深夜に検索魔になっているママがいたら。その検索をやめて、この本を1冊だけポチって、寝てください。寝るのが一番大事です。土を耕す人にも休息が必要ですから。
